トップ › VTuber

本家と見紛うキラキラは自作、1枚を20分割した執念【姫生のーむPlazma MV徹底解説 第9回】

推しにゅ〜編集部

推しにゅ〜編集部が惚れ込んだ姫生のーむさんの『Plazma』MV解説動画を全10回で深掘りする連載、第9回。今回はチャプター9「ラスサビのお話」を取り上げます。

推しにゅ〜編集部 一押し特集 MV徹底解説 全10回連載

ここまでの回で見てきたのは、指示書が「なんか戦う」の一言でも成立させてしまう職人たちの仕事でした。ラスサビは、その積み重ねがいちばん気づかれにくい形で結晶している場所です。なにしろ本人が「一時停止しないと絶対わかんない」と言い切る仕掛けが、コンマ数秒のなかに埋まっているのですから。

「これ、本家から持ってきた?」——一瞬のキラキラを疑う

MVラスサビより、キラキラした光の粒に包まれる姫生のーむさん

画像は「【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】Plazma - 米津玄師 / Cover by 姫生のーむ」MV(YouTube)より

ラスサビで画面いっぱいに舞う、あのキラキラ。姫生のーむさんは解説動画のなかで、この素材があまりに本家と似ていて、思わずこう感じたと明かしています。

これ本家からそのまま持ってきたんじゃないか

もちろん、そんなことはしていません。動画(Movie)を担当したやぬひさ先生が、ゼロから作った完全な自作素材だそうです。

ここが面白いところで、キラキラは普通「あって当たり前」の装飾として流れていきます。視聴者は素材の出どころなんて気にしません。既製の素材を買ってきて重ねれば、それらしい絵にはなる。それでも本家と見分けがつかない水準まで自分で作りにいったというのは、もう完全に作り手の意地の領域です。

自作だからこそできる遊び——キラキラの中を、音符が飛ぶ

そして、本題はここからでした。よく見ると、キラキラの後ろを小さな音符が飛んでいるというのです。姫生のーむさんはこう驚いています。

キラキラの中に音符が細かい。これ一時停止しないと絶対わかんないの

しかも1か所だけではありません。別のキラキラのほうにも、音符はちゃんと飛んでいる。本人の言葉を借りれば、これは「このキラキラ自作だからこそできる遊び」です。

言われてみれば当たり前の話なのですが、既製素材を置くだけなら、粒子ひとつひとつの形を変えることはできません。ゼロから作ったからこそ、光の粒を音符に差し替えられる。1粒1粒のレベルで、遊びが仕込まれている——そういうMVなのです。

1シーンのためだけに、1枚絵を20分割する

MVラスサビより、大きく脚を伸ばして横向きに疾走する姫生のーむさん

画像は「【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】Plazma - 米津玄師 / Cover by 姫生のーむ」MV(YouTube)より

もうひとつが、ラスサビの躍動感あふれる走りのカットです。じつはこのシーンのイラストは、キャラクターを担当した神崎先生にレイヤー分けを依頼していなかったのだそうです。つまり、やぬひさ先生の手元に届いたのは、動かす前提になっていない1枚の絵でした。

普通なら、拡大縮小や移動で「それっぽく」揺らして終わりにするところです。ところが実際に行われたのは、こうでした。

  • 元データは1枚のイラスト(レイヤー分けの依頼なし)
  • やぬひさ先生がパーツごとに手作業で切り分け——その数、20分割
  • 切り分けたことで足りなくなった部分は、描き足して補完
  • 髪の毛まで独立して動くように仕込む

このワンシーンのためだけに、20分割。しかも切り離せば当然、パーツの裏側は「絵が存在しない空白」になります。そこを描き足してから動かしている。走りの説得力は、この手数から生まれていたわけです。

姫生のーむさんが解説の途中で「本当に本当にありがとうございます」と重ねて言っていたのが、すべてを物語っています。

気づかれない前提で、そこまでやる

この章の2つのエピソードは、方向は違っても行き着く先が同じです。キラキラの中の音符は一時停止しなければ見えないし、20分割の走りは「なんかカッコいい」で流れていく。どちらも、気づかれないことが前提の仕事です。

それでもやる理由は、たぶん見せるためではなく、そこに愛があるかどうかの問題なのだと思います。だからこそ本人が解説動画で1つずつ止めて、「ここ、こうなってるんですよ」と言葉にする意味がある。作った人の手数を、ファンが知る機会になっているからです。

まとめ:一時停止して初めて見えるものばかり

ラスサビの見どころは3つ。①本家と見紛うキラキラはやぬひさ先生のゼロからの自作、②その中を小さな音符が飛ぶ、自作ゆえの遊び、③1枚絵を20分割して髪まで動かした走りのカット。いずれも一時停止して初めて見えるものばかりです。

次にMVを再生するときは、ぜひラスサビで指を止めてみてください。キラキラの粒を1つずつ追いかけると、たぶん見えます。

動画はこちら

解説動画:ガンダム愛100%!ジークアクスのOPをガチで作り込みすぎた結果ww【父親にガノタにされた女V】#Plazma

MV本体:【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】Plazma - 米津玄師 / Cover by 姫生のーむ

役割担当
歌・ロゴ姫生のーむ
イラスト(キャラクター)神崎
イラスト(ロボット)キャムウー
動画やぬひさ
インスト・サウンドプロデュース太田晴之
ミキシングエンジニア鈴木惇也
プロデューサーG-ya001(ジーヤ)

次回・第10回(最終回)は、チャプター10「最後のダッシュは、エモい」。1人で走り出した姫生のーむさんに、雷が光るたび仲間が増えていくラストシーンの意味を読み解きます。

広告